山口さんは、この一宮町に芸術家があつまる芸術村をつくろうという構想の中心人物だ。筑波大学の芸術学群の学群長時代に、ある機会があって淡路島にやってきたときに、船を降りたとたん、直感があったという。「ここでなにか新しい芸術活動ができないだろうか」と。
一宮町の高台に立つ山口さんのアトリエの外には、天気の良い日には、外で野兎がひなたぼっこをしている。アトリエの中に野ネズミや雀が巣をつくる。鳥が煙突から入ってくる。夜になればいろいろな種類の蛾が入ってきて、それを楽しむことができることも魅力なのだ。
夜に本を読んでいると、2ミリぐらいのちいさな虫が飛んでくる。それを見れば、今のマイクロマシンといわれているものも、自然にはかなわない。まだ人間はここまで行っていないというように感じ、創作意欲がわいてくるというのだ。
山口先生の考える「芸術村」では、多くの芸術家があつまり、ワークショップを持って活動の拠点とすることを構想している。「淡路島は変わった人があつまるところだ。おもしろい魅力を持った人が集まってくる磁力がある」という。
淡路島のいちごを用意してくれていた。田淵さんの発酵途中のお酒をのみながら「い
ちご」を食べた。いちごと淡路島の日本酒。これが山口さんのおすすめだ。
アトリエの二階が山口さんが生活しているスペースだ。そこには業務用のガス台があ
り、重そうな中華鍋があった。しきりがないスペースで、台所にも本棚がおかれ、そ
の横にはさりげなく作品が飾られていた。
山口さんは言う、「淡路島での生活、それ
そのものが芸術だ」 と。