鯛を追って45年。「鯛の心は、女心?」
鯛の一本釣り/木下時雄さん
淡路島に行ったなら、まずは鯛。
それも由良(ゆら)でとれた鯛を食べないで帰ると後悔しますよ。
プルプルしていて、甘みがあって、香りがよくて・・・。
うーん、うまく説明できない。言葉ではあの味を伝えられません。
ごめんなさい。
余計な味付けをせず、刺身や宝楽焼き
(さざえや海老と一緒に焼き上げたもの)にして食べるのがおすすめ。
木下時雄さんは、由良の鯛を一本釣りでとる凄腕の漁師。
45年間で釣り上げた魚は数知れず。
その中で一番印象に残っているのは、30年前の巨大な鯛。
両手をめいっぱい広げたぐらいの大きさで、
重さは10キログラム以上。
目は、馬のものと見間違えるほどデカかったそうだ。
これだけのキャリアと腕をもつ木下さんでも、
魚の動きを完全に把握することはできないという。
曰く「魚群探知機に映っているのに、釣れないことがあるんですよ」。
鯛の心は女性の心と同じなのだとか。移り気で、とらえどころがない。
イライラは募るが、そこがまた魅力であったりもする。
船に乗ると、やさしい木下さんの目は、海の男のキリリとした目に変わる。
長年鍛えられた太い腕と、分厚い手のひら。
男が見てもカッコイイ。
その格好よさにひきつけられた鯛が、今日もまた、細い針先に引っかかる。