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「淡路島はロマンの島だ」

高速艇船長/北條昭三郎さん

 
北條昭三郎さんは、明石と淡路町岩屋を結ぶ「播淡聯絡汽船」の高速艇の船長だ。2 2才の時から、今まで34年もの間、通勤や通学の足となり、あるいは観光客をのせ て、明石海峡を渡ってきた。
北條さんは根っからの海の男だ。双子の兄も、おじいさんもこの会社で船員をしてき た。息子さんもここで働いているというから、親子3代ということになる。
明石と岩屋を結ぶ航路は、瀬戸内海から神戸・大阪に向かう船の航路を横切る。その ため非常に注意が必要だ。レーダーなどの最新設備があっても、やはり最後は人間の 目がたよりになるのだという。


 
安全にはやはり最も気を使う。自分の船に多くの人の命を預かっているので、その 責任感はただごとではないらしい。乗客の人々が感じている海の上での不安な気持ち を、自分に託してくれていると思うと身が引き締まるという。操舵室で話しをさせて もらったが、特に着岸のときなど、船員さん全員の緊張した様子が感じられて、その 気持ちが痛いほど伝わってきた。
霧の日は特に気を使う。風の強い日でも運行はできるが、濃霧だけはむずかしいとい う。そんな日に、船を出すか出さないか決めるのは船長だ。このときに人の命を預か っているという責任を最も強く感じるのだという。さすがの船長も、このときばかり は、「なんて大変な職業なんだ」と感じ、港に無事ついたときにはほっとするのだそ うだ。

それでも34年間の間、船長をひきつけてきたものは、「海のロマン」としかいえない 。生まれ育った淡路島は「ロマンの島だよ」と、航海を終えた優しい笑顔で答えてく れた。
もうすぐ明石海峡には橋が架かる。橋が架かる年に北條さんは定年で船を下り る。「橋が架かっても海のロマンを味わえる高速船をなくしちゃいけない。だって、 淡路島はロマンの島なんだから」と言葉をつないだ。
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