日本で唯一、この吹き戻しを生産しているのが、藤村良男さん。
あまり知られていない正式名称「吹き戻し」については、
「名前が似ているので、5月の空にふわふわ流れる「吹きながし」に
よく間違えられるんですよ」と苦笑い。
藤村さんが吹き戻しをつくり続けるには訳がある。「紙と針金でできたこわれやすい
おもちゃは、子どもたちにものを大事にする心を教えてくれる」というのが藤村さん
の思いだ。
僕たちが話しを聞きにいった日に、ちょうど大分から藤村さん宛にファックスが届い
ていた。「声を出すことのできなかった子どもが、吹き戻しで遊んでいるうちに、言
葉を少しずつ出せるようになった」という、感謝、感激の文面だった。吹き戻しは、
単なるおもちゃの域を超えた、心をむすぶ道具なのだ。
吹き戻しを通じて、人の輪は確実に広がっている。いっしょに話しをしてくれた日本 吹き戻し保存協会会長の木村幸一さんとともに、紙製おもちゃを集めたお祭りを開く ことが、藤村さんの夢だ。その木村さんはなんと、吹き戻しを名刺にしている。
「昔なつかし」というイメージの吹き戻しも、実は新製品開発に余念がない。「シ ェア全国1位といっても、みんなが辞めちゃったからうちが残っただけ。楽じゃない んだよ」と笑う。いくつもの吹き戻しを組み合わせてつくった自慢の新製品「地獄の ぴーひゃら」を吹かせてもらった。体の中の空気をすべて吐き出すかのような、とて つもない肺活量が要求される。吹いている最中に目の前が暗くなるから「地獄」なの だろうか?。楽しい「地獄」を見たい人は、淡路に足をはこぶべし。